夏の日の朝 思い出

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E-330+ZD18-180mmF3.5-6.3

 夏の夜が好き、と書いた次は夏の朝の話題だ。キャンプなどで山の中にテントに張り、一夜を過ごす。そして、目が覚めたとき何を感じるだろうか?私は匂いを感じる。昨日も夏の夜の匂いのことをちらっと書いたが、今日も同じ。けど、匂いだけならこちらが好きだ。
 あれは木の匂いなのか、何の匂いなのか分からないが、とても心休まる匂いだ。
 また、この写真のように朝靄に遭遇することもある。基本的に朝は寝る主義なので、朝靄の写真、というか早朝の写真はレア中のレアだ。というかこの写真ぐらいしかない。EXIFを見ればわかるだろうが、この写真はずいぶん昔、それもカメラを始めた初期に撮影されたものだ。それについてちょっと語ろうと思う。

 カメラを買った当時の私は、はっきり言ってカメラについては無知だった。だから絞り優先モードも使わず、使うのはプログラムモードとシーンモードぐらいだった。露出補正もホワイトバランスも分からなかった。夕陽を撮るとき、なんで夕陽モードにすると綺麗に写るのだろうか?疑問は感じたが、解決はできなかった。この写真は、そんなフルオートで撮った一枚。はっきりいってそのままだと見せられるレベルではないので、ちょっと補正している。というか超露出オーバーだった。なんやかんやでいろいろな昨日を使い切るのに、1年近い歳月を要した。当時は18-180mmという超万能レンズを使っていたが、今思うとそれが成長を妨げたのかもしれない。
 構図は足で稼げ。
 同じ構図でも、焦点距離の違いで印象は大きく変わってくる。しかし高倍率ズームでは、構図を調整するのにほとんどズームで済ませてしまっていた。高倍率ズームなので、一応あらゆるシーンには対応できてしまい、レンズを買い足すこともなく3年が過ぎてしまった。無益な3年を過ごしてしまったとちょっと後悔。
 けどこの写真を撮った時、どんな思いで撮ったのか、なんとなく覚えている。実はこの写真はトリミングされているのだが、本当は隅に一台の自転車が写っていた。今は手元にないダホンのメトロD6(のOEM)。それが届いた週の朝だ。
 なぜか寝付けない夜、気が付くと東の空はほんのり明るくなってきていた。部屋の中には買って間もないカメラと、自転車。急にわくわくし始め、「夏の日の朝」というものを撮影に向かった。もちろん、生まれて初めての事だった。
 意味もなくペダルを漕ぎ、シャッターを切る。そこに何の考えもなく、ただ、楽しいからやっていた。ただ純粋に、趣味を楽しんでいた。
 昔撮ったこのなんてない写真一枚に、たくさんのドラマが押し込められている。作品とは言えない写真だけど、今まで写してきたすべての写真は、大切な思い出だ。だから今日も写真を撮る。
 数年後、今日のように写真を見て、「こんなことがあったな〜」と思える日のために。