GXRをクビにした3つのワケ

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E-30+50mmF2macro

導入時ちょっぴり絶賛したGXRだが、世界一周から帰国後すぐに手放すこととなった。その理由とは?

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世界一周でGXRは一応の活躍をした。一眼に比べれば小さなカメラで、持ち歩くことができた。治安のあまりよろしくない土地では一眼レフは「金持ちの象徴」と思われているらしく、一眼を持ち歩くのは少々危険だったのもある。
S10ユニットはGX200の改良型といえるもので、全体としての性能は高い。が、導入時も気になっていたように、GX200に比べサイズが一回り大きく、重量は二回り重い。つまり、持ち運びは決して楽ではなかった。
GX200の泣き所である高感度が改善されたのは大変嬉しいが、実感できる長所はそれだけである。
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これはほかのユニットにも言えるのだが、ユニット化の弊害か、起動が遅い。利用用途はスナップになるはずのS10だが、起動が遅いのでシャッターチャンスを逃すことが多々あった。それはもう一回や二回ではなく、十回二十回のレベルで。

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それでもGX200譲りのレンズがはじき出す画質は決して悪くない。GX200はA4ぐらいで印刷すると「コンデジクォリティ」が実感できるが、S10はA4程度なら一眼と大差なく見れる。
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24-72mmという画角だが、GX200から気づいてはいたがこれがとてつもなく使い易い!確かに望遠が不足するのだが、70mmぐらいまでズームできればあとは創意工夫で何とかなるものだ。他社の高級標準ズームが24-70mmなのがよく分かる。つまりこの画角の使用頻度が撮影には丁度いいのだ。
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しかし、困ったことにGXRにはA12というカメラユニットがある。いくらS10が優れていようとも、A12の画質の方が飛び抜けてよい。もう旅の途中からA12 50mmしか使わなくなるほどに。よって、S10は旅の後半数ヶ月の間お休みとなった。それぐらいS10とA12の画質には差がある。
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ここからA12 50mmF2.5の写真。ボケボケで何を撮っているか分からないが、トルコのチャイです。
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ドミニカのホットケーキです。
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イタリアのパスタです。
…という具合に、写真のほとんどがグルメ。普段は一眼で、料理はGXRで、という具合に使い分けるようになった。ただ、このときはファームウェアが古く、改善前の激遅AF。かなりAFには苦しめられたが、それでもがんばった。
普通の風景やスナップ写真は無いの?と言うと無い。50mmという画角はスナップや風景にはちょっと長い。活躍は先のグルメと、ポートレート。さすがにポートレートは上げられないので割愛。
そう、50mmは長い。帰国したころに28mmユニットが出たので、早速導入。28mmユニットについては去年11月にやった「半年振りの撮影記」で紹介したとおり、これこそがGXRの姿。使い易過ぎる!
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AFも50mmよりも明らかに改善されており、さらにMFリングも滑らかに回るようになった。出てくる画はどれも「ゾクッ」とくるほどのもの。なのだが、このユニットを手に入れてからGXRの引退まで、そう期間をおかなかった。


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ようやくGXRを手放した理由だが、まず第一に「携帯性」だ。
GXRは大きいのだ。最近の小型ミラーレスと比べても大きめだ。そしてマグネシウムボディのおかげで一回り重い。もちろんおかげでしっかりホールドでき、剛性もある。一概に難点とは言えないが、私にとってGXRはサブカメラ。携帯性が第一だった。50mmユニットは特に携帯性が悪かった。28mmユニットで大きく改善されたが、実際に使ってみて決定打とはならなかった。

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第二に「将来性」だ。
GXRは革新的なカメラだ。いや、カメラと言えるかも怪しい。ユニットを組み替えることで何にでもなるデバイス。GXR発表時、プリンターやら何やらも視野に入れているとのことで、GXRという企画にワクワクしたものだ。が、実際いたってフツーのカメラユニットばかりしか発表されない。それならレンズ交換式で良かったじゃん。と思う。さらに初速が遅く、加速も無いので全く勢いに乗らない。これでは心躍らない。もし28mmユニットしか使わないのであれば、もはやユニット化する必要も無く、割り切ってDP1でも使ったほうがマシな気になった。

そして第三。これが最大の理由となった。GXRはほかのレンズ交換式カメラに比べ、「埃に弱い」。ユニット化で内部は密閉され、埃が進入しにくいのがGXRの利点と言っているが、あれは確実に嘘。少なくとも世界一周の際、S10とA12、どちらも埃が進入し、撮影時にばっちり写るようになった。レンズ交換式カメラでは埃(ダスト)は超音波なりでふるい落とし、駄目なら人力でブロアー、クリーニングキットでなんとかできる。が、密閉構造のGXRは個人では不可能。一方我らがオリンパス、E-30はエジプトの砂漠だろうとビクともしなかった。オリンパスのダストリダクションはマジで最強だと感じた。まあそのE-30もクビとなったわけだが。
使い方が悪い、と言われればそうかもしれないが、そこまで無茶させた思いもないし、この程度で進入するとちょっと信頼に欠ける。


と言う風に、「性能<不満」な結果となったわけだ。GX200が素晴らしかっただけにちょっと残念。けど、おかげで自分が何を求めているのかがだいぶ分かった。サイズと性能の妥協点も見極めれるようになった。GXRにはいろいろと教えられたわけだ。
ちなみに、リコーは現在もっとも期待しているデジカメメーカーです。GXRの将来にはまだ期待はしているし、カメラ作りに対しては一番真面目に取り組んでいると感じている。
各社ミラーレス一眼を「一眼画質」を謳っているが、真に一眼画質を達成しているのはGXR A12ユニットのみだと断言する。撮像素子とレンズの最適化が生み出す高画質は、このサイズでありながらミドルクラスのカメラを食ってしまうほどだ。そのぐらい凄い。

私は手放したが、メインとしてGXRを使うには大いに推奨します!本気で写真に向き合う、GXRはそういう人のためのカメラです。
ちょっとサブには高性能すぎました。

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