長い夜

普段気にもしないが、日本人は仏教徒なのだろう。遺体を前に手を合わせる自分たちを見てそう感じた。
震災発生の日、私たちは夜通しで被災地へ向かい、明朝には救助活動が始まった。一夜明けて明らかになった被災地の実情は、想像を絶するものだった。
悪い夢だ。何度もそう思った。あまりの「非日常感」が生み出す、現実感の無い日々。被災者には悪いが、どうしてもこれが現実の出来事とは思えなかった。被災地を目の前にし、実際にたくさんの遺体を前にしても、である。まるで劇場の観客のように、幕が閉じれば全てが元通りになると信じてしまう。そう、これは悪夢。


震災から約二週間。被災地は復興へと向かい始めた。夢みたいに全てが無かったことにならないが、夜は明け始めているはずだ。少しでも素晴らしい日の出が見れるよう、もう少し被災地で復興を支援したい。


さあ、もうひと頑張りだ。