カメラの操作 古今東西

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写真を撮るために、カメラを操作する。私の保有するカメラの中でもっとも古いのはライカM4だ。このころのカメラは撮影時に操作する場所は二箇所、絞りとシャッタースピードダイヤルだ。
しかし今は違う。それ以外にもボタンやダイヤルの数以上の設定項目があり、それらを変更しながら撮影に挑まなくてはならない。
カメラの操作性は、個人的には画質よりも大きな必要項目だと思っている。
では理想の操作性とは何か?これは各社いろいろと考え、それぞれの方向性があり見ていて面白い。以下、いろいろなカメラの操作性を見てみた。
撮影はすべてE-M5(銀)にED50mmF2マクロ。

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個人的オススメNo1カメラ、EOS5D2。写真家の中ではキヤノンで一番人気がある機種ではないだろうか?比較的安価なフルサイズ機で、画質とサイズ、価格のバランスはよく取れていると思う。

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キヤノンのカメラの大きな特徴が背面にある大きなダイヤル、サブ電子ダイヤル。露出補正専門のダイヤルである。オリンパスのE-Pシリーズをはじめ、各社のコンパクトデジタルカメラでも同じようなものがあるが、ミラーレスやコンパクトカメラといった小型のカメラではダイヤル自体も小さくなり、操作性はとても悪くなる。EOSではその大きさもあって非常に使いやすい。他社でも後ろダイヤルに露出補正を振り当てれば似たような操作は可能だが、回しやすさは圧倒的にEOSが上である(個人差あり)。
その上に見える突起はマルチコントローラーで、いわゆる十字キー。メニューの操作などに使うが、メニューの操作はダイヤルでもでき、そちらのほうが快適なのでほとんど使わない。一等地にあるが、私には無駄である。EOS60Dのようにサブダイヤルに入れちゃいなよ、と思っていたが、EOS5D3でも変わらなかったところを見ると、この方がいいのだろう。
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上から見るとこんな感じ。左肩にモードダイヤルのある、ごくごく一般的な形状。このモードダイヤルはなぜか不用意に回ることが多く、何度もモードダイヤルにロック機構をつける有償サービスを受けようか考えたことか…。
右にはホワイトバランスやISO感度を変更するボタンなどが並び、コントロールパネルが撮影情報を表示する。多くのボタンがあるのは個人的に好きで、1ボタン1機能が理想である。EOS5D2のようにホワイトバランス、ISO感度、AFモード、測光の切替はダイレクトに変更したい。E-M5ではこれらすべてを振り分けるのは難しく、どれかを捨てなければならないのが難点である。ボタンが多いことは偉大である。
コントロールパネル個人的に好きなもののひとつ。背面液晶を見るよりこっちのほうが見やすいと思っている。
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最近のレンズは不思議と操作する場所が減らされている。ズームリングとフォーカスリングだけ、である。絞りリングは無くても何とかなるが、問題はフォーカスリングで、ニコンのミラーレスにいたってはリングがない。私はフォーカスリングは機械式でなければならないと信じて疑わないのだが、世間の流れはまったく逆である。距離指標は消え、被写界深度目盛りも消え、ついにはフォーカスリングも消えつつある。電子式が悪いとは言わないが、距離指標などは液晶にしっかりと表示してほしいものだ。ねえオリンパス
その点EFレンズは古い規格だけあって好感が持てる。特にLレンズは作りがしっかりしていて、操作するだけで楽しい。EF70-200mmF4Lには多くのスイッチがあり、いちいちボディからメニューを開いて操作せずに設定を変更できる。上からフォーカスリミッター、AF/MF切り替え、ISのオンオフ、流し撮りモードの切り替え、という風に。写真には写っていないが、上には距離指標もあり、EFレンズは情報をすぐに読み取れるがいい。
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どうでもいいが、インナーズーム、インナーフォーカスが好きです。操作しても重心の変化がほとんどないのはもちろん、ほかにもインナータイプでないと、ズームやフォーカス時にニョキニョキ伸びるのが間抜けに思うので。


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カメラを変えて最新のOM-D E-M5。EOS5D2と比べ圧倒的に小型なので、そのしわ寄せは操作部に出ている。とにかくボタンが小さく押しにくい。EOS5D2を操作した後だと、操作しにくさだけでなくレスポンスの悪さも気になりだす。が、遥かに小型軽量で、ミラーレスの利点が勝り主力を交代している。
私がE-M5に不満を抱いているのが操作系である。悪い意味で感度の良いアイセンサー、やる気の無いボタンが主な原因。再生ボタンとFn1ボタンの押しにくさ悪意すら感じる。
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マイクロフォーサーズは小型重視なので操作性が悪くなるか、というとそうでもなく、例えばパナソニック機では大きく変わる。上面に所狭しと並ぶダイヤル、レバー、ボタン。なぜかカメラ上面に操作部を置きたがらないオリンパスとの違いである。
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きわめて軟派なイメージが付きまとうパナソニック機だが、細かいところまで行き届いた操作性は賞賛に値する。拡大もボタン一発だし、解除も一発。個人的にパナソニックが嫌いという身もふたも無い理由で使わないが、人に勧めるときは私はオリンパスよりもパナソニックを勧めたい。家電との相性もいいし。このDMC-G2は何よりも評価できるポイントがあり、それがどこよりも先にタッチパネルを一眼に採用したこと。オリンパスもE-P3、そしてE-M5と採用されたが、もうこれはこれからの必需品である。面倒なフォーカスポイントの移動とはおさらば、被写体にタッチするだけという簡単操作。タッチシャッターは快適そのもの。iPhoneでタッチフォーカスの便利さは知っていたが、タッチシャッターのほうが遥かに快適である。iPhoneにも純正でタッチシャッターを採用してほしいと思うほど。

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話に一瞬上がったE-P3の操作部はこんな感じ。とってもすっきりである。もちろん使いにくい。メインダイヤルが使えないどころかむしろ邪魔になる人も多いと聞くが、私は無いよりかマシと思っている。E-M5に比べボタンが押しやすいのがいいところ。拡大ボタンも独立している。E-P3の最大の弱点は他ならぬ液晶(有機ELパネル)で、視野角がとことん狭い。液晶が命のミラーレスでは絶望的なことで、まだE-P1のほうがマシである。E-M5でも同じものが使われているが、改良されているのか実用上問題なくなっている。とはいっても他社は100万画素越えの液晶パネルを使っており、そっちのほうが遥かに見やすい。
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そして当ブログで検索ワードランキング1位のGXRさん。リコーのカメラの操作性は私にあっており、部分的にはEOSを上回っている。ボタンの数こそ少ないが、とても工夫されており設定の変更はしやすい。レスポンスの良さも特徴で、ミラーレス機(?)でGXRのレスポンスに勝るカメラはいまだ無い。が、AFなどの部分は時代遅れで、SDカードの書き込みなどのレスポンスは遅い。そろそろ新しいボディ作ってくださいよリコー。綺麗なEVF付けたらE-M5売ってA16ユニットと一緒に買いますよホントに。
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私の所有するデジカメでは最も古いR-D1。が、不思議と操作性が悪いと感じたことは無い。それどころか操作が楽しくてしょうがない。ホワイトバランスの切り替えのやりやすさは、私が知る上でこれ以上のものは無い。無駄に金のかかったアナログ式のコントロールパネル(?)は最高だ。ISO感度の切り替えもダイヤルを持ち上げて回すという昔懐かしの方法だが、このカメラの場合そう頻繁にISO感度を切り替えないので問題ない。全カメラ中楽しさでこのカメラを上回ることはできない。でも撮影画像の拡大などは結構面倒だが、あんまりこのカメラでピントを追い込んだりしないから問題無しである。ストイックな人はイライラしそうだ。
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私が所有するカメラのなかで、もっとも操作が簡単なのがフィルムカメラの元祖ペン、EE-3。操作するのはフィルム感度だけ。フレーミングに集中できるので、ペンでの撮影はライカに次いで好きだったりする。太古のカメラのフルオートでもそれなりの写真が撮れるのは、なんだか最近のカメラを見ていると皮肉に思える。電子機器の塊となったカメラを、いくつものボタンを駆使して操作する時代。それもそれで楽しいはずが、中には操作性の悪さにイライラさせられることもある。でもそんなときこのカメラを見ると、フルオートでもいいんだな、と思い出させてくれる。



私はカメラに画質は求めない。好きになったカメラで撮影をする。私がカメラを好きになる条件は、操作性がいいカメラであることが多い。不思議な話、握った瞬間大体分かる。
とりあえず、個人的なカメラ萌えポイントを羅列して、今日の駄文を終わります。
・1ボタン1機能
・リコーのADJレバー
・右肩のコンパネ
・左肩のモードダイヤル
・機械式フォーカスリング
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