新しい道を照らします FL-50R

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 外部フラッシュ。メーカーによっては「スピードライト」などと呼ばれているが、一般的には「ストロボ」の名前が一般的だろう。実はストロボとはストロボリサーチ社の登録商標で、正式名称ではない。この辺戦車の無限軌道をキャタピラーと呼んだり、小型飛行機をセスナと呼ぶのと同じで、言わせたもの勝ちである。wikipediaによると、エロクトロニックフラッシュが日本での正式名称らしい。本項では外部フラッシュで通します。
 さて、一眼やちょっと高級のコンデジには、ホットシューと呼ばれる溝があるのが分かる。そこに外部フラッシュを差し込めるのは大抵の人が想像付くが、実際そこに外部フラッシュをつける人はどのくらいいるのだろうか?恐らく多くの人が、不必要と感じ、外部フラッシュの購入には至らないはずだ。
 しかしこれだけはいえる。もしあなたが室内での撮影が多いのであれば、買って後悔することはまずないということだ。

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 そもそも外部フラッシュって必要なの?と思う方も多い。内臓フラッシュを使えば分かるが、フラッシュを炊いた写真は、ギラギラしてとても実用に耐えるものではない。写真を始めたころは多くの人が「内臓フラッシュいらなくね?」と思うはずだ。そして自慢げに「フラッシュなんて使わないよ」と言いふらすだろう。そのイメージもあってか、機材を買い足すのもレンズやボディばかり増え、ホットシューは一度も使われることも無く売りに出される物もあるだろう。
 確かにフラッシュを直接炊いた写真は、使い捨てカメラで撮る画とあまり変わらない。しかし、外部フラッシュは内臓フラッシュにはない特徴を持っている。
 その最たる例は、バウンスできることだ。バウンスとは、バウンド、つまり跳ね返り。天井などに光をあて、間接的に光を当てることだ。外部フラッシュは内臓フラッシュに比べ遥かに強力な光を発せられ、よほど天井が高くない限り、間接光でも十分な光を与えることが出来る。バウンスさせるとどのくらい写真が変わるかというと、晴天の日と曇天の日ほど出来が変わってくる。屋内はいかに明るくても、晴れた日の屋外より暗い。そのため、シャッタースピードはだいぶ遅くなり、感度を上げたり、三脚を使わねば写真が撮れないことが多い。が、外部フラッシュを使えば何も考えなくていい。普通に構図を決め、シャッターを切ればいい。足りない光は外部フラッシュが与えてくれる。
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 だが、最近ではカメラの高感度ノイズは改善され、手振れ補正の高性能化に伴い、室内でもちゃんとした写真が撮れるようになってきた。なので、外部フラッシュなんていらないと思う人もいるが、そういう人は人生の2割は損している。そもそも写真とは光が無いと撮れない。その場にある光だけで撮るのもいいが、それだと表現に限界が出る。与えられた絵の具だけで画を描くのもいいが、どうせなら持ち前の絵の具を混ぜてみてもいいのではないか?
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 例えばこういう写真、自然にある光だけで撮ろうと思えば難しい。だが、外部フラッシュがあれば簡単だ。この写真はカメラの横に外部フラッシュを立てて、直接光を当てているだけ。外部フラッシュはその大きさなどから難しいように思うが、むしろ無いときよりも撮影は簡単になる。手振れの心配なども無くなり、光も思ったように動かせるので、パシャパシャ撮るだけだ。このブログでも室内撮影のほとんどに外部フラッシュが使われている。
 でも、外部フラッシュは大きく重い。ホットシューに外部フラッシュの付いたカメラは威圧感すら与える。大きく、重くなったカメラを振り回すのはしんどいのでは?と思うかもしれないが、科学万歳。いまやホットシューに外部フラッシュを付けて撮るのは時代遅れとなっている。


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 つまり、ホットシューから離れていても…





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 光ります。


 そう、最近の外部フラッシュはその辺に置いておけばいい。あとはカメラとフラッシュが勝手に連携して写真を撮ってくれる。私が思うに、これこそが内臓フラッシュとの最大の違いだと思う。ホットシューにつけたままでは、外部フラッシュの利点は半分も生かせていないともう。ホットシューからフラッシュが離れるだけで、自由度は一気に増す。もちろんカメラが軽くなるということもあるが、発行源を動かせるので、表現が一気に広がる。例えばさきほどのE-1の写真。これもホットシューにつけたままで撮ろうとすると、当然真横に光は当てることは出来ないので、バウンスさせることとなる。しかし、壁にバウンスさせると光が拡散してやわらかい光、つまりメリハリのある写真では無くなる。メリハリをつけようとすると、レフ板という道具を使って、光をがっつり反射させる必要がある。つまり、機材増えるし面倒。つまり、最近の外部フラッシュは被写体と挟んで撮るようなことも可能となる。
 その辺においてパシャパシャ撮ればいい。これで室内撮りが一気に楽になるはずです。
 しかし、カメラかフラッシュの両方が対応していないと、これは使えない。
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 そこで昔の人は考えた。方法の一つがシンクロコードを使うことだ。ある程度のカメラであればシンクロターミナルというシンクロコード用の端子があれば、無くてもホットシューからコードをつけるアダプターが売っている。なので、この様なことも可能。GX200との愛称は抜群で、右手にGX200、左手に外部フラッシュということも可能だった。だが、この方法だとケーブルが届く距離までしか設置できず、有線はたまに映り込んだりしてやはり不便だ。
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 そこで昔の人は考えた。もう一つの方法は、内臓フラッシュに連動して発光することだ。スレーブ発光と言われる方法で、フラッシュが光ったのを認識すると、外部フラッシュが光る。内臓フラッシュがある機種なら簡単にワイヤレスフラッシュが可能となる。実のところ、現在のワイヤレスフラッシュもこの進化系で、内臓フラッシュの発光で外部フラッシュと通信しているらしい。E-1にはなかった内臓フラッシュがE-3で搭載されている理由が、このワイヤレスフラッシュを実現するために搭載されたのだという。あと、ニコンD700なんかもそういう理由だったはず。


 とまあこんな感じで、外部フラッシュを使った撮影を楽しんでいるわけだ。で、今まで中古で格安のフラッシュを買いあさっていたのだが、このたびついに純正のフラッシュを購入した。それがFL-50Rという外部フラッシュだ。これに至るまで2つのフラッシュを使っていたが、先にそちらの紹介。
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 なんでGX200やねん!という突っ込まれるまえに言っておくと、大きさが分かりやすいかな?ということ。ほら、一眼って同じような形してても結構サイズが違うんで。決して一眼で撮ったほうが楽だったとかそういうことではない。
 で、まずは中古1000円で買った、サンパックのauto22SR。特徴はとにかく小さい。小さいくせに上向きのバウンスが出来る。シンクロコードが使えるなど、価格以上の活躍をしてくれた。その後フラッシュを買い足しても、その小ささと軽さから今だ重宝している。が、その後首振りができなかったり、光量に不満を感じ次なるフラッシュを求めた。
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 次はまたサンパックのauto30DX。2000円から3000円ほどで入手。もともとニコン用だが、オートモードやマニュアルは問題なく使える。若干明るくなり、首振りが出来るようになった。こいつからスレーブ発光をするようになる。機能的には問題ないのだが、auto22と比べ重く、チャージも遅い。使っていて快適とはいえず、auto22SRでどうしても撮れない時用のフラッシュとなる。
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 そしてついに現れたフォーサーズ最大のフラッシュ、FL-50R。E-1と共に生まれたFL-50にワイヤレスフラッシュ(オリンパスではRCフラッシュと呼称)に対応させたモデルだ。この下にFL-36Rという小型のものもあったが、小さい分低性能なので、評判などからFL-50になった。
 もちろん本来はフォーサーズ機に付けるのが本当だが、E-30は例のワイヤレスフラッシュに対応しているので、ホットシューにつけることはあまり無い。しかしE-1は未対応で、内臓フラッシュも無いので、ホットシューに付けないと使うことが出来ない。
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 太古のフラッシュからいきなり最先端のフラッシュを使うので、技術の進化には驚かされる。外部フラッシュにズーム機能があったり、これ単体でスレーブ発光できたり、オートモードも遥かに進化している。オリンパス以外のカメラでも、換算焦点距離とISO感、絞りを入力するだけで、綺麗な写真が撮れてしまう。先の二つはマニュアルで無いと適正な露出が得られなかったが、こいつは問題なし。

 そして、こいつを導入して分かったのが、E-1の意外な弱点。
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 フラッシュの発光量を調整する際、E-30はポップアップボタンと共用のフラッシュボタンと、露出補正ボタンを押しながらダイヤルを回す。聞くと大変そうだが、フラッシュボタンが左手で押せるので問題は無い。それでも気になるなら、設定を変えればダイヤルを回すだけで変更も可能になる。
 だが、E-1は違う。変更する際に使うボタンはE-30と同じだが、E-1はボタンが一箇所に集中している。E-30だと左手はレンズを保持したまま親指で押せたが、E-1はどう頑張っても左手を離さないと押すことが出来ない。E-1はワイヤレスフラッシュが出来ないのでホットシューにはフラッシュがあるのだが、その重みもあってうっかりするとカメラを落としそうになる。まあE-1はそんなに重いカメラで無いので大丈夫なのだが、ちょっと気になった。逆に考えると、その辺ちゃんと後のモデルでは改善されたということか。



 ということで、レンズを増やすのもいいけど、外部フラッシュ、お一ついかが?