E-1が教えてくれたこと

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E-1+ZD50-200mmF2.8-3.5

「いいもの」とは、何年経っても色あせない魅力がある。いや、むしろ時が経つほどその魅力を増していくように思う。
E-1は発売から7年が経った。毎年のように後継機が作られるデジタルカメラにおいて、その歳月はあまりにも長い。
500万画素、実用ISO感度200、遅いデータ書き込み速度。もはや今の目で見ると語るに値しないほどの性能だ。だが、そんなことはどうでもいい。そう思える魅力が、E-1にはあった。
あなたはカメラに、何を求めますか?

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まるでポジフィルムで撮ったかのような写り。これがE-1の最大の特徴だ。まあ加工すればどんなカメラでも撮れてしまうわけでもある。

ということで、昨日の記事で書いた、「GXRが片手間にされていたこと」とはE-1での撮影。
E-1の撮影自体は時々やっているのだが、今回は本気。というのも、久しぶりに三脚持って行きました。E-1は高感度に弱く、オリンパスの強みである手振れ補正が搭載される前の機種なので、ISO感は上げられない。なるだけISO感を上げずにシャッタースピードを稼ぎたいので、明るいレンズを、ということでこちらも久しぶりに登場ZD50-200mm(旧型)の登場。一応11-22mmを持っていったが、広角はGXRで対応したので、9割50-200mmで撮影。今回の写真もすべてそのレンズ。
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今回の撮影の趣旨は、E-1でどこまでできるか、ということ。
E-1は古いカメラで、オートははっきり言って信用できない。ホワイトバランスはもとより、露出も大暴れ。一言で言うとじゃじゃ馬だ。
そんなじゃじゃ馬を乗りこなそう、と思ったわけだ。
でもそのじゃじゃ馬を乗りこなしたところで、周りにいるサラブレッドには勝てない。そう感じさせたのは、一緒に持っていったGXRだった。E-1で苦労して撮った写真を、GXRは一瞬で作り上げる。7年という歳月は、どうあがいても縮められないほど、性能に差を開けていたのだ。

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写真は、撮れないから楽しい。撮れないから考えて、実行して、また考えて、また実行して、理想へと近づけていく。
カメラの仕事は、撮影者の思考をいかに反映させるか。それに尽きる。画質だけで言えばエントリークラスのカメラでも問題は無い。ただ、思考の反映、つまり設定をいかに効率よく変更できるかを求める。そのため、ツインダイヤルが必要だったり、各設定をダイレクトに設定できたりすることを求める。
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その点はE-1は良く出来ている。フォーサーズ一号機であり、フラグシップ。ボタン一つですら手が込んでいる。もちろんより改良された後継機には劣るのだが、実用上全く問題は無い。
カメラに求めるんものは操作性。そうE-1を購入する前までは思っていた。だが、そうでないことも教わった。


人生で初めてOM-1のシャッターを切ったとき、衝撃が走った。優しいそのシャッターフィーリングは、これまで感じたことが無かったからだ。そんな感動が、E-1にもあった。E-1のシャッター音は控えめで、ミラーショックも少ない(そう感じるだけかもしれないが)。非常にお上品な音がする。だから、E-1はシャッターを切るのが楽しい。
そしてそのボディの剛性。今までプラボディのカメラばかり触っていたからか、触ったときの冷たい感触は新鮮だった。ぎゅっと握ってもビクともしないボディは、とても信頼できた。私がよく言うのが、E-30で殴られても死なないが、E-1で殴られたら死ぬ。頭蓋骨より確実に硬い。そう思えるほど頑丈である。

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握って安心、設定簡単、シャッター感動。この辺が個人的マストポイント。これらすべてE-1を触るまで良く分かってなかった。だが、写真とは吐き出されるものがすべて。高画素、高感度、高画質の近年のカメラとは、E-1が戦うには分が悪い。
写真は勝負ではないのだけれど、なぜか人は物事を比べたがる。それに、下手くそな写真をカメラのせいにもしたくない。
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最近ちょっとまじめに「写真」について考えるようになった。というのも、撮ってるのか、撮らされているのかが分からなくなってきた。
なんとなくではじめた写真も、気づけばだいぶ深みにいる。けど、結局写真を撮って何になるのか。

とりあえず写真を撮る。そんな毎日。いったい何を求めているのか。けど、せっかく深みに入ってきたのだから、本気で取り組んでみよう。


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受身の写真から、攻めの写真へ。